すずめのとじまり

備忘録

始まりは冬?銀河の見えるきれいな星空と荒野からスタート。幼いすずめが動き歩く。途中建物の上にある船……妙だな(3.11)最後は誰かと会って目覚める。学生のすずめ。美味しそうな立派な朝食を摂って自転車で学校へ。下りなのでペダルから足を離して進むシーンはなかなか爽快で良い。平らなところでてんてんと足を付きながら走るのもリアル。向こうからやってくるイケメンそうたとすれちがい、廃墟の位置を尋ねられる。第一声がそれなのまじかってなるけどここで恋に落ちる(多分)。その後道中の踏切で九州訛りの級友に声掛けられる。さっきのイケメンが気になって登校を放棄して廃墟へ。立入禁止の看板を乗り越えて人気のないボロボロの温泉街を練り歩き荒れ果てた植物園みたいなところで扉を見つける。足が浸かるほどの水にも関わらず、中に入って扉のもとへ。きれいな夜空を扉の中に見るもそこには行けず現実の扉の向こう側へ。足元に石のようなものを見つけて持ち上げる。冷たい石。突如猫となったことでびっくりし手放してしまう。

 結局お昼に登校。そこで地震警報。舞台が宮崎であることがわかる。そして空に赤い龍のようなもの(後にミミズと判明)を見つけるもすずめにだけしか見えない模様。その根本の廃墟に行く。そこでは扉を抑えるそうたの姿が。ビビり慄くも最終的に一緒に扉を締めて、きれいにタイトル。(いい演出)ミミズについて、地震を起こすものらしいことを知る

 すずめをかばって怪我したそうたの応急処置をしに自宅へ。母が看護師だったらしく、ササッと応急処置をする。そこでしゃべる猫登場。そうたをその場にあった椅子にする。逃げ出す猫を追いかける椅子を追いかけるすずめ。鬼ごっこの始まり!

 まずはみかんフェリーで愛媛へ。追いかけ飛び乗ったので無賃乗船っぽいが不明(船内で買ってたパンなどはネットバンク経由で購入してた)甲板の階段の下あたりでどこからともなく(船内から?)湧いた毛布と枕で一夜を過ごす。一緒に住んでるおばさんには友達の家に泊まると連絡。

その後愛媛へ。ツイッターなどによりだいじんとよばれた例の猫の足取りを掴んで電車などで追いかける。近くに来たものの見当たらず歩いていると原付きの荷台からみかんが転がり落ちるところをイスとともにネットでキャッチ。同じ高校2年生の女の子チカと友達になる。話をしてると赤い塊、ミミズを目視。チカを置いてむかうも走ってでは到底厳しいところ地下が原付きで追いかけてきて拾ってもらう。ミミズの近くで降りてイスとともに駆け寄る。廃校の扉を締めて猫と再び会うも逃げられる。

その後チカの家族経営の旅館で世話になる。手伝いをしつつ、チカと交流。男ってほんと馬鹿だよね〜ってやり取りは草。愛媛で泊まることについておばさんからの恐ろしい長文メッセージは既読無視。全文読みてえ。

翌日瀬戸大橋を渡ろうとする猫をニュースで見つけて神戸へ向かうことに。出かける際にチカから服とバッグをもらう。暖かすぎるだろ……。ヒッチハイクを試みるもうまく行かず雨を降って近くのバス停へ雨宿り。次のバスは6時間後で絶望するところ、たまたま愛媛に帰省してた神戸へ帰る母親の車が声を掛けてくれて神戸へ行くことに。さらにその母親はスナックを経営しており、子供の相手やスナックの裏方の仕事をする。途中猫を見かける。ここ猫が他の視点で人になってたようだったのが謎。猫に見えないこともある……?飛び出す猫を追いかけるすずめとイス。場所は廃れた遊園地。観覧車の扉が開いているところからミミズ発生。雀が観覧車の扉を締めようとしイスは猫を追いかける。猫は元要石でミミズを抑えるために大事な存在。捕まえた猫にその役割は椅子へ移したと告げられる。

二人の追いかけっこの際に観覧車が起動。動き出す。すずめは扉の向こうの幻影を見て扉に入ってそのまま観覧車から落ちようとするをイスが声掛けして現実に戻し助ける。そして扉を締めて一件落着。スナックに戻って心配されるもお腹を鳴らしたすずめにやきうどんを振る舞ってくれる。ポテサラ入りの目玉焼きトッピング。太りそう〜とは劇中のママさんのセリフ。この日の夜、イスのそうたは現実から遠ざかってる描写があり寝起きが悪いのは意識が現世から離れていることを示唆していたことがわかる。

翌日見送りのママさんから帽子を貰って東京へ。新幹線に乗ってる描写の途中熱海の停車アナウンスがあって笑う。のぞみに乗れよ。ぷらっとこだまで向かってるの??

イスのそうたに案内された先はそうたの家。ここで昔の書物を広げて2つ存在するというもう一つの要石の位置を探る。この家の本棚は気になったけど教員試験の過去問と地図帳や辞典以外は分からなかった。

要石は時代によって場所が変わる。江戸以前の東北がふくよかな地図から伊能忠敬による精緻な地図の場合に至るまで要石の位置は変化しており現在は東京と九州宮崎に。

結局詳しい場所はわからなかったので彼の祖父に聞くこととなったがそのとき来客が。芹沢という後の物語のサポート役が登場。彼いわく昨日は大事な教員試験だったらしい。罪悪感が募るすずめ。とりあえず彼とともに家を出るとそとにはミミズが。東京の2個目の要石が外された?飛び出してその場所を探ろうとするもそこは電車のトンネルの中。もう無理だというところでミミズに直接飛び乗るイス。それを追いかけて橋から飛ぶ命知らずなすずめ。そのまま東京一円を覆うミミズの上でそうたは自分が要石となったことを自覚し悟る。凍りつくイスを手にすずめはミミズに打ち付ける。霧散するミミズに落下するすずめ。それをねこが助け川へ落下。

流れ着いた場所はまさかの扉のある場所。地下のところで開いた扉の先の世界にイスを視認。中には入れずQBのようにすりより「やっと二人になれたね」というねこに怒りをぶつけるもときすでに遅し。二度と姿を表さないで大嫌いと嫌悪をぶつけ猫もショボショボとその場を去る。

その後地上に出るも裸足にボロボロの服。なんとかそうたのアパートでシャワーを借りて地だらけの足を応急処置し、そうたの靴を借りて助けのために病院にいる彼の祖父のもとへ。助けたいというすずめにたいし要石となった孫を成就させろという祖父。しかし、すずめの意思を尊重してか助言をする。

次なる目的地はすずめがかつて扉の向こうの世界へ行ったときの扉を探すすなわち故郷に向かうこととなる。東北。10年前。ピースは揃っている。

駅でどうやって行こうかというところで芹沢さんがオープンカーで登場。そこにすずめのおばさんもやってきて混線。とりあえず車に乗ってすずめの故郷へ向かうことに。このとき「ルージュの伝言」が流れる。ジブリ意識してるなあ……。かなり描写からジブリ臭がしてたのも気のせいではないと思う。ドライブ中、芹沢さんを娘の彼氏と勘違いして警戒する母親に学生証を提示しておりそれをみると立教大学教育学部の文字!ナカナカヤルジャン(てか教育大かとおもったら違うのね)

途中雨でオープンカーの屋根が故障しているコミカルな描写のあとSAで雨宿りをすることに。芹沢さんまじいいやつ。ここで、東京の要石こと大きな黒猫がおばさんを操ってすずめと喧嘩をする。「あなたがいたせいで婚活もうまく行かないししんどいことばかり」と深刻な対立するもおばさんが自覚して仲直り。このあたりはなんとも表現し難いがまあちょっと面白い。

目的地から20kmのところで猫が喋り驚きのあまり車が脇道に落下。壊れてた屋根が正常に作動し扉が壊れるコメディとともに落ちてた自転車に乗って最後の目的地へ走る。

家の跡地へただいまをしたあと庭からタイムカプセルを掘り出して日記を取り出す。4歳のときに書いたとは思えない上手な絵日記の最後は3.11と一面黒く塗りつぶされた絵。ここは本当にゾッとした。それが何ページか続いたあと二人と椅子そして綺麗な夜空。そうあの扉の向こうの絵が描かれている。ホラーか???ビビっちまったよ。

その絵から扉を探し当て2匹の猫とともにラストダイブ。片方の東京猫(左大臣)がミミズと戦っている間、イスにキスをして起こして抜いた。その後人間となったそうたとともに2匹の猫の要石をミミズに突き刺してハッピーエンド。

エンディングのさなかでそうたは寄り道して扉を締めるらしく早々に分かれておばさんとすずめはすずめの来た道を戻りながらお世話になった人に会ってた描写は本当に暖かくてよかった。

最後は少し時間が立って初めてそうたと合った場所で再会して映画は終了。

 

主要人物について

すずめ

女子高生。行動派でかなり走れる。行かなきゃ!を劇中で何度言ってたかそのたびに周囲の人をおいていってミミズへ向かってる。おそらく母を震災でなくしている。4歳のときにおばに引き取られて一緒に暮らしている割には東北弁でも九州弁でもないのは大人の都合だろうし仕方ないけどこの映画最大の不思議かもしれない。

おばさん

ごめん名前忘れた。かなりいい人。すずめを引き取ってる。40歳ぐらいにして総務部部長。エリートである。きれいな人というのはすずめ談

すずめをおって東京まで来てくれる辺りほんとうにすずめの母親代わり。意味不明なすずめの動きに長文メッセ送りながらも強く引き止め連れ戻しはしないあたり見守りタイプかな。

 

そうた

閉じ師であり、教員志望の放浪者。イケメン。正義感があり、おとなっぽい。

 

芹沢さん

後半の物語の牽引役。天気の子で言うところのおっさん役かな。かなりいいキャラしてる。好き。

 

物語全体について

はじまりは要石を戻すこととそうたをもとに戻すことから始まって中盤、そうたを助けることに切り替わる。結果要石は戻ってそうたは助かるご都合エンド。天気の子のような葛藤もなく、すずめは臨死体験により死を恐れないイカれたキャラとなっている。葛藤好きには物足りないのかも。選択もなく一直線に物語が進むのはまさにロードムービー。ネットバンクですずめの位置取りを掴んでるときの船での食事の支払い履歴、旅館やスナック、車で移動中の風景などほんとに細かいところがリアルに描写されてて深海作品みを感じる。

気になったのはなぜすずめだけ生きていたのか。職場が沿岸だったならわかるがみたところ自宅が沿岸だったようで基礎以外流されている。

向こう側の世界は僕の思い描いた「星を追う子ども」のあの世の世界に近かった。この作品が好きなら粗いけども「星を追う子ども」もおすすめできる。

そうたの祖父は道標でしかない割には尺と威厳を持って扱われてた謎。同様におばさんとのSAでの対立も伏線はあったものの突然で謎。

【追記枠】

周りの人たちが宮崎の方言から始まり、愛媛、神戸とイントネーションが変化して最後は東京となったのは旅情を感じて最高に良い演出だった。

願わくば最後は東北弁が欲しかったが……僕を含む多くの視聴者を置き去りにしてしまうので実現性は低いだろう。字幕は無粋。

 

「君の名は」では子供は大人を動かし物事を解決した。「天気の子」では大人と対話するも理解が得られず鉄砲を手に飛び出した。では「すずめのとじまり」は?この作品では親や助けてくれた大人、同級生の子供にさえすずめはろくに説明せずに問題が発生すると駆け出してしまう。最後には好きな人のところに行ってくると言っあの世へダイブする。もはやそこに対話などなく相互理解もない。ただ大人はすずめに対し見守り待つしかできないのである。これが新海誠の今なのか、求めた答えなのか。

【追記2】

そういえば、最後のシーンで大事な部分を忘れていた。昔すずめの迷い込んだ向こう側の世界で会った人物。それは未来の自分だったということ。扉の向こうの世界は時間軸が同じであるというような説明が映画冒頭でそうたによって説明されていて随分な伏線回収がなされていた。母を必死で探すすずめに母への決別と未来の約束をする。幼い自分を救う未来の自分だ。他の誰でもない自分自身によって救われるそれは時間の経過による救済を暗喩しているかもしれない。