ヱヴァンゲリヲン新劇場版 破

引き続き個人的備忘録。序同様一部シン・エヴァのネタバレがわかる人にだけわかるように挟まれます。

エヴァ視聴後、漫画全巻読破状態で序を見てからのスタート。

 

 最初はマリの登場。第五号機に乗り込んでいるらしい。エヴァパイロット初めてでお歌を歌いながら戦いへ。結果は同士討ちでエヴァ五号機も失われてしまう。マリの「すっげー痛いけど面白いから良い!」は好きな発言。面白いは何物にも勝る。代償を厭わず生きているマリ△。

 そこからシンジとゲンドウがユイの前の墓で対話するシーン。「人は思い出を忘れることで生きていける」と言いユイの写真はもう残されていないらしい。「全ては心の中だ、今はそれでいい。」というゲンドウの含みのある発言は漫画版でも気になった部分。シン・エヴァを見たからかもしれないが。

 その後、二号機による使徒との戦闘。使徒が海を渡っているところを戦艦が迎撃していて、赤い海が強調される。セカンドインパクトにより赤くなった死の海に浮かぶ戦艦の無機物さが際立つ。そして戦闘に勝利して出てくるはわれらが式波アスカラングレー!あんたバカぁ!というエヴァを知らない人間でも知る名台詞にこころが動かされる。シンジがアスカのことを式波と呼んでいてその心理的距離を感じる。漫画版とは異なり大人に対しても猫を被っておらず、加持さんに対しての恋愛感情を抱いていないように見えた。アスカはシンジとともにミサトさんの家に乗り込む。シンジが来た時のように風呂場のペンペンに驚かされ、裸を見られたシンジをけ飛ばすとアグレッシブな初日。ペンペンはそのあとストローでビール飲んでて成人済みであることが判明した。その夜二人はそれぞれすがるべきものとともに寝ている描写がなされる。シンジにとってのカセットテープ、アスカにとっての手人形。一人で戦う彼女を鼓舞するもう一人の自分。

 日常パートは社会科研修。加持さんの伝手で水族館へ。五人と一匹の鳥ぺんぺんが裸や下着姿で厳重に除染された後に入る。ペンペンお前もか。ここで水槽を見るレイは水槽の中でしか生きられない魚に自己投影する。昼食はシンジが作ったお弁当。肉を食べられないレイに自分は台所には立たないと古風なトウジ。にぎやかな食事風景が描写される。水族館の外へ移動したシンジは加持さんにミサトさんの過去を教えてもらう。セカンドインパクトで父を失ったこととその父に助けられたことを知りその境遇はシンジに似ていると受け取った。

 場面が移って登場するのはシン・エヴァでは故人となっていたプレイボーイの加持さん。諜報員として活動しており、ゲンドウにネブカドネザルの鍵を渡した。その後宇宙空間で死海文書の外典の存在を仄めかしたり、エヴァが六号機以降の建造予定がないにもかかわらずマーク6があることなどを宇宙空間でゲンドウと冬月教授が話す。

 次の使徒は宇宙空間からの襲来。スーパーコンピュータMAGIを使うまでもなく落下点はジオフロント直上。宇宙でカヲルくんを見かけるイベント中のゲンドウとは使徒のジャミングにより連絡が取れずミサトさんが総司令官として事態の対応に向かう。ATフィールドを用いて空から受け止めるというアグレッシブな作戦に駆り出されるレイ、アスカ、シンジの三人と三機のエヴァンゲリオン。シンジが最速で駆け付けてコアをレイが捉えアスカが止めを刺すという見事な連携により無事使徒を撃退。この戦いの後ゲンドウがわざわざシンジと通信を繋げさせてよくやったと褒めるシーンは漫画にはなく非常に温和な印象を受けた。ゲンドウは漫画だと冷酷無比に描かれている。一方、エヴァの中ではアスカが一人でやれなかったことを悔いていた。この夜アスカはシンジの寝床へ行き対話する。そして互いに呼び名をアスカとバカシンジに。バカシンジでいいのかシンジ。

 この後、マリとシンジが初邂逅。マリがパラシュートで着地するところをシンジが体で受け止める。そこでマリがLCLの匂いをかぎ取った。LCLって匂いがあるんだという驚きを視聴者に与える。

 そして再び加持さんと出会うシンジ。缶コーヒー一本を人質に農作業を手伝わされる不憫なシンジ。その作物こそがスイカ!なるほどそういうことだったのかと納得する。 

 レイはゲンドウとの食事を通して食事会の開催を決める。アスカもシンジのためにか料理をしていて漫画版との大きな違いを感じる。レイが能動的にシンジのために他者を動かそうとするのは漫画版ではなかなか想像できない変化である。

 ここで日常風景だけれどもトウジが当たり付きアイスを外すシーンが描かれる。確か漫画版は当たっておりその後3号機のパイロットとなるも暴走して亡くなってしまうが、ここはそれとの分岐を暗示しているのだろうか。

 エヴァは1国3機までというバチカン条約にのっとり3号機の受け入れのため2号機を封印。アスカは当然不満げ。世界で唯一の居場所を奪われさみしい気持ちとなったところでレイと会う。エヴァに乗らない幸せとエヴァでしか人とつながれないことを吐露した後でシンジに対する思いを尋ねられアスカはその話に「それって好きってことじゃん!」とすがすがしくツッコむ。

 そんなアスカは新しく配備される3号機の試験搭乗をすることに。「愚民を助けるのがエリートの義務」と高潔さを示しながらも、人とかかわることに喜びを見出しつつあるなど融和が感じ取れる。3号機の起動とともに内なる使徒が侵食。エントリープラグは飲み込まれ暴走してしまう。食事会に向かおうとしていたゲンドウは引き返し司令塔に、シンジも初号機に乗り込み対処をする。しかし、使徒と言われた相手はアスカが乗っていると思わしきエヴァ。抵抗するもダミーシステムに切り替えられそれにより無残にもアスカが乗っていると思われるエントリープラグは噛み千切られエヴァは八つ裂きにされる。シンジは激昂し、倒産も大切な人を失えばいいんだと自棄になりながら残る活動時間を用いてジオフロントの破壊を目論むもLCLの濃度を上げられ意識を失う。

 意識のない中電車でシンジは幼いシンジとレイと対話する。

 再び知らない天井スタートでゲンドウに呼びつけられ断罪される。願いは自らつかめ、大人になれというゲンドウに対して僕には何が大人かわかりませんと答えるシンジはエヴァに乗ることを拒否しネルフを去ることに。ゴミ箱に捨てられたカセットは後にレイが拾い上げている。ミサトさんの家からも出ていく。この時ペンペンのネームプレートがPEN^2になってて笑った。去り際、ミサトさんに対して「僕はもう誰とも笑えません」と言うシンジの言葉は重く、アスカを失った影響は色濃い。

 そんなシンジの失意の帰郷の中使徒襲来。シンジを失った初号機はダミーシステムで起動を図るも拒絶される。マリは2号機を奪い、使徒と対峙し戦闘。苦戦するも裏コードにより外装が動物に変容。その力を以てしても倒せず、レイの乗る零号機が爆弾を抱えて決死の特攻を。マリが支援し成功したかに思われたが使徒はなおも活動しマリの乗る二号機に攻撃する。近くのシェルターに避難していたシンジはそこでマリの乗る2号機に連れ出され、目の前で零号機が使徒に食われるところを目撃する。シンジはその足で初号機の前に行き乗せてほしいとゲンドウに懇願する。初号機に乗ったシンジは使徒と戦闘をする。そして初号機は覚醒する。これ以上は人でなくなってしまうというリツコの横でミサトさんは「行きなさい!シンジ君。誰かのためじゃない、あなた自身の願いのために!」と叫ぶ。そしてシンジは使徒の中にいるレイを捉えて救出するもニアサードインパクト通称ニアサーが発生。あぁこれが、シン・エヴァでシンジがニアサーを引き起こしたと詰られていたゆえんかと思い出す。そんな使徒エヴァに宙から槍を刺したのがエヴァに乗ったカヲルくんである。Beatiful Worldが流れ、次回予告でサービスサービスして破は終幕。

次回、『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』